2018年8月の東京セミナーはL2・L4からの調整を行いました
2018年8月19日に、下北沢で開催した手技セミナーは第2腰神経と第4腰神経に刺激を入れる手技を行いました。
大腿神経支配の筋肉のトラブルには欠かせない手技です。
手技の概要
検査の情報を必要としない
通常の手技は最初に四肢の検査をしその情報を元に手技を行いますが、今回の手技は検査の情報を必要としません。しかし手技前後でどう変化したかの確認のため、必ず手技の前に検査はします。
第2・第4腰神経に刺激を入れる
刺激と言っても強い刺激ではありません。軽く圧を入れるだけです。指圧やマッサージのような押し方ではありません。
第2、第3腰椎棘突起間、第4、第5腰椎棘突起間から左右の外側の小さなくぼみを母指で圧を入れます。
第2、第3腰椎棘突起間の方が第4、第5腰椎棘突起間より少し狭めです。
共に呼気で圧を入れ、呼気で圧を外します。
圧は背部から腹部にまっすぐの方向に入れますが、共に僅かに内側に圧の向きを入れる方が効果的です。
手技中の術者の身体の使い方
手技そのものはとても単純です。しかし、術者の身体の使い方はそれほど単純とは言えません。シンプルな手技だから適当になりがちです。特に今回の手技でよくあるミスは、母指を腕の力だけで指圧のように押すようなミスです。この場合、受け手は尖った物で押された感覚を受けます。そして少し痛みを感じます。いわゆる手押しです。小手先だけで手技を行なった結果、正しい圧をかけることが出来ず思い通りの結果が出ません。
全ての手技に言えますが、手や指で手技をするのではなく、下半身をしっかり使い連動させながら手や指を使わないといけません。
セッティング時も手技中も手技を終える時も、股関節、膝関節、足関節、肩関節、肘関節、手関節の使い方とても重要です。
セミナーでは全ての動作の説明を行いましたが、ここではセットから圧をかける動作の上肢の動きだけ書き出します。
棘突起間から外側に指を流し、圧の場所を確定し、それに対して術者の足のポジションが決まります。母指を圧の場所から動かさないようにしながら、肩関節を伸展、肘関節を屈曲、手関節を背屈でセットします。
圧をかける際、指で押すのではなく、セットで縮めた上肢を伸ばす事が重要です。このように身体の使い方でセットし施術すると尖った刺激にはなりません。
この動作と同時に下半身も連動させることで、より効果的な手技を行うことが出来ます。
臨床での使い方
検査が出来ない場合の症状の時に役立つ
臨床の場で重度の症状で来院される患者さんがいます。例えば腰椎ヘルニアの場合、寝返りが出来ないや仰臥位で寝れないなどよくあります。そしてその場合は正確に検査が出来ない事がほとんどです。検査の情報が無いので施術することも大変です。
そのような時、まず今回のような検査情報を必要としない手技を行い、ある程度改善してから改めて検査をし通常の手技を行うように組み立てるようにすると改善しやすいです。
具体的な症例
膝関節の疾患にはかなり有効な手技です。
変形性膝関節症の場合、膝屈曲の他動運動や自動運動の可動域制限や疼痛がある場合でも、変形の度合いによりますが、多くの患者さんで可動域の拡大や疼痛の軽減が起きます。
腰椎ヘルニアの痺れ、股関節痛などにも効果的です。
広背筋の起始部があるため、上肢のトラブルや呼吸機能の安定にも効果的です。
セミナー後記
今回セミナー生と一緒に練習をしましたが、手押しの場合は腰部に親指が刺さる感じがありました。やはり指で押そう押そうとして力んでしまうみたいです。
手足全体を使って押すことを分かっていても実際にはなかなか難しい動作です。
1回で完全にマスターすることは無理ですが、意識して練習や患者さんに接していれば必ず身につきます。
一つ一つ丁寧に準備し、丁寧に手技をすれば結果はついてくるはずです。