2018年6月の大阪セミナーは膝関節伸展筋を調整する手技を行いました
2018年6月10日に、大阪上本町で手技療法セミナーを開催しました。
今回のセミナーでは、緊張した膝関節伸展筋を調整する『腹臥位の屈伸』という手技を学びました。
膝関節の検査で筋のバランスをみる
手技で筋のバランスを調整する前に、左右の筋の緊張差をチェックします。
今回の手技は、膝関節を伸展させる筋に対してアプローチするので、膝関節の運動検査を用いてチェックします。
膝関節の屈曲差から緊張と弛緩をみる
膝関節伸展筋の緊張状態を見るために、膝関節の屈曲検査を行います。
膝関節を他動的に屈曲させていくことで、膝関節の可動域を調べ、左右で比較します。
膝関節の伸展に働くのは、主に大腿四頭筋ですが、この筋肉が緊張していると、他動的な屈曲に対して、伸張制限が生まれ、膝関節の可動域に差が生まれます。
単純に関節可動域をみるわけではなく、あくまでも筋の伸張差をみているので、検査はゆっくりと丁寧に行うことが大切です。
バランス療法では、膝関節の検査で屈曲可動域を少ない側を、膝関節伸展筋の緊張側と捉えています。
股関節周囲筋のバランスによって角度を決める
膝関節伸展筋の緊張・弛緩のバランスが判断できたら、股関節内・外旋のバランスを調べます。
股関節の外旋運動の可動域をみて、手技を行う下肢の角度を決めます。
具体的には、手技を行う側の下肢が内旋傾向にあれば、手技は下肢全体を少し外転させて、外側から内側方向に向かって操作します。
反対に下肢が外旋傾向にあれば、下肢は外転させずに、そのままの角度で手技を行います。
膝関節伸展筋を伸張する手技を行う
今回のテーマである腹臥位の屈伸は、緊張した膝関節伸展筋に対して、伸張させるように操作を行い、筋の緊張を弛緩させる目的で行います。
膝関節の検査で緊張側を判断し、股関節の検査で手技を行う方向を決めたら、実際に手技の練習に入ります。
アキレス腱の内側を固定する
最初に、受け手の膝関節を90度屈曲し、股関節の検査をもとに下肢の角度を調整します。
術者は下肢の軸上にアキレス腱の構えて、アキレス腱の内側を固定します。
この時、内果に指がかかって固定してしまうと、受け手は違和感を覚えるので、骨にはかからないように、腱の内側を注意して固定します。
また、固定する際に足関節に極端な底背屈が起こらないように、足関節の自然な角度を保って固定します。
特に、固定時に底屈方向に操作してしまうと、そのあとの操作に影響が出るので、底屈に気をつけながら固定します。
足背部に手をあてて膝関節を屈曲方向に操作する
アキレス腱の内側を固定したら、もう一方の手を足背部にあてて、膝関節を屈曲方向に操作します。
膝関節の屈曲に加えて、足関節を底屈方向に操作することで、膝関節の伸展筋には、より伸張作用が加わります。
この時、股関節と膝関節、そして足関節の軸が一直線になるように、真っ直ぐ操作するのがポイントです。
3つの関節の内、1つでも内外に捻って操作すると、大腿前面の筋肉は十分に伸張されず、弛緩の効果は得られません。
反対に、3つの関節の軸をずらさずに、膝関節の屈曲と足関節の底屈ができれば、少ない操作でも十分に大腿前面の筋を伸張することができます。
膝関節の屈曲角度を大きくすればするほど有効というわけではないので、この点に注意が必要です。
膝関節の伸展筋を調整する手技のまとめ
手技が終わったら、再び膝関節の屈曲検査を行い、左右の可動域が同じになったかを確認します。
手技が狙い通りにできていれば、大腿四頭筋の伸張が十分に得られて、手技の前に感じた屈曲の抵抗感が無くなります。
左右の膝関節屈曲筋・伸展筋の緊張差がなくなり、バランスが取れることは、左右の重心の不安定さをなくすことにも繋がります。
膝関節の手技ですが、膝の症状だから使うというわけではなく、膝関節から大腿四頭筋や、その拮抗筋であるハムストリングスのバランスを整えるという目的で、どんどん練習していきましょう。