東京と大阪で開催している手技セミナーの内容と人体の考察

2017年6月のセミナーは股関節内転・内旋筋を調整する手技をテーマに行いました

2017年6月11日に大阪上本町で開催したバランス療法の手技セミナーは、股関節内転筋・内旋筋を調整する手技をテーマに行いました。

股関節は、人体の中でも最大の関節で、強力な筋が多数付着しているため、バランス療法の手技も、股関節周囲の筋にアプローチする手技は少なくありません。

今回の手技は、股関節内転・内旋と股関節外転・外旋の働きを比較し、内転・内旋筋の緊張を弛緩させる目的で行う、外転操法です。

股関節の内転・内旋筋の緊張差を左右で比較する

バランス療法では、施術の手技を行う前に、必ず左右の筋の緊張差を比較する検査を行います。

今回の手技は、股関節内転・内旋筋にアプローチするため、他動的な関節運動の可動域からこれらの筋の緊張差を比較します。

股関節外旋運動の差から筋の状態を調べる

股関節内転・内旋筋の緊張状態を調べるため、股関節の外旋運動を供給し、その可動域を左右で比較します。

股関節の外旋運動が抵抗なくできる側は、内旋筋の伸張が十分にできると考え、外旋運動に抵抗がある側は、内旋筋の伸張が十分に行えず、緊張状態にあると考えることができます。

また、股関節の内転と内旋は協調的な運動であるため、股関節内旋筋群の緊張が強い側は、同時に内転筋群の緊張が強くなっていることがほとんどです。

股関節の外旋検査をすると、可動域に明確な差があることが多くあるので、左右の筋のバランスを調べる検査としてはとても有効です。

仰臥位で片側の下肢が外旋している場合

他動運動で関節を動かし、筋の伸張度を調べる検査は、その身体の本来の筋の状態を知る上で最も重要ですが、変形性股関節症や、臼蓋形成不全で、他動運動下で検査ができないことがあります。

そういった場合は、補助的に立位や歩行動作、座り方の癖などをヒントに、股関節周囲筋の状態を考察します。

補助的に見るポイントでもっとも代表的なものは、仰臥位になった際、左右の下肢を比較すると、片側の下肢が外旋位に位置しているという場合です。

この場合、下肢の重さで両方の下肢がやや外旋方向に向きますが、外旋角度の浅い方が内旋筋の緊張が強いと考えることができます。

ただし、上記の他動運動を行って見ると、反対の結果に出ることがあるので、あくまでも補助的に考え、他の様々な情報と組み合わせて考えるのが良いでしょう。

緊張した股関節内転・内旋筋を弛緩させる目的で手技を行う

左右の股関節内転・内旋筋の緊張差が判別できたら、今度は緊張差を取り、筋の左右のバランスを整えるために手技を行います。

今回の手技では、内転筋群と内旋筋群の弛緩と、拮抗筋である外転・外旋筋群の働きを促すことを目的にします。

具体的には、内転・内旋方向に緊張した下肢を、呼吸のタイミングを見ながら、徐々に外転・外旋方向に操作します。

バランス療法の手技の中には、緊張した筋に対して、伸張刺激を与えるような手技もありますが、この手技では筋を伸張させるほど大きな関節運動は行いません。

相手に緊張を起こさせないように、伸張に下肢を外転・外旋方向に操作していき、術者の手に小さな抵抗感を感じたら、その角度で操作を終了し、そのまま保持するようにします。

外転操作から、元に位置に下肢を戻すときは、内旋方向に関節を動かさないように注意しながら戻します。

手技の後は筋のバランスを再度検査する

股関節の内転・内旋筋に対して、緊張を緩和する操作ができたら、再び左右の筋のバランスを評価します。

手技を行う前の検査と同様に、左右の股関節の他動運動による外旋可動域を比較する検査を行います。

手技によって術者の目的通りに筋が弛緩すると、外旋運動時の内旋筋の伸張度が均等になり、左右の可動域が同じになります。

これによって、左右の内旋筋のバランスが取れていると評価することができます。

バランス療法の手技は、目的とする筋だけではなく、近接する筋や関連する筋の緊張差も変化させるものです。

今回の手技でも同様のことが言えるため、手技の操作に慣れてきたら、股関節の外旋可動域だけでなく、膝関節や肩関節の屈曲検査で、全身の筋のバランスがどう変化したかチェックしてみても良いでしょう。

股関節の外転操法のまとめ

股関節は肩関節に次いで自由度の高い関節であり、なおかつ重心を支える支点にもなるため、周囲には強力な筋が複数関与しています。

そのため、運動や日常生活動作などでも筋は強く働き、左右の習慣的な緊張差が生まれやすい環境になっています。

今回の手技は、強い刺激を与える手技ではありませんが、うまく操作ができると、股関節を左右方向に運動する筋の緊張差をなくすことができます。

あらゆる場面で使うことのできる手技なので、しっかり操作を復習してください。

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