日々の施術録や身体の使い方について書いています

左頚部〜左背部痛を訴える女性への施術録

新患さん

style Bの新患さんは100%紹介という大変ありがたいことと感謝の気持ちでいっぱいです。HPはあっても全く活用できていない状態がずっと続いています。

患者さん一人一人への説明に重要視しているため、ネットにエネルギーを費やしていないと言うと聞こえは良いですが、本当に困っている人が探してもHPに辿り着けないというのは本当は患者さんに優しくないとも言えます。

今後は少しづつ力を入れていこうと思います。もう何年もスタッフにも怒られていますし、そろそろちゃんとしないといけませんね。 ということで、今日も紹介で40代の女性が来られました。紹介者は旦那さんです。

寝違え?嚥下障害?頭痛?吐き気?

主訴は、左の首から左の背中(背骨と肩甲骨の間の部分)の痛みです。 こういう痛みは誰でも起きそうな痛みだし、ほっておけば1〜2日で自然に痛みが消えていくことが多いと思いますが今回の患者さんはちょっと違ったので記述します。

先週の木曜日(H27/8/6)に朝起きた時に少し首が痛く、あっ寝違えたかな?と思ったそうです。寝違えた場合、安静にしていればその時が痛みのピークで徐々に治っていくのが一般的です。

その朝の時点ではほんの少しの痛みだったので、ちょっと寝違えたくらいの感じだったそうです。

その後仕事をしていると痛みが増してきて、その日の夜には食事や水を飲むことすら出来ない程、左の首から背中にかけて激痛が出始めたそうです。金曜日の朝も痛みは引かず、症状が悪化し左の肘から手首までのシビレ、呼吸が浅く息苦しく感じ、頭痛と吐き気など、明らかに寝違えとは言えない症状が出始めてたそうです。

そして金曜日の夜は、辛くて涙が出るほどだったようです。 当院には痛みが出て6日後に来院でした。来院時は、初日や2日目ほど症状はひどくないものの寝返りで頭を持ち上げる時や水を飲み込む時には辛そうでした。

実際は・・・

通常通り手足の検査をしましたが、手足の力が抜けず肩や股関節や膝の可動域は左右共にかなり制限がありました。

特に頭部の回旋運動の制限がひどく、頭を動かすどころか支えることすら大変そうでした。あと数年前から右腰に違和感あって騙し騙し生活していたとのことです。

当たり前ですが患者さんは強い痛みがある左の首から背中に問題があると思っていますし、他の箇所に意識しなくなります。

僕も最初は頚椎(背骨の首の部分)から胸椎(背骨の胸の部分)周辺の問題かと思いましたが、施術前の立ち姿が妙に違和感があり、いきなり痛い所を触らずに下半身の筋肉を左右対称に働くようにすることをまずやってみようと施術プランを立てました。

施術の詳細は省きますが、最初に下肢を牽引し坐骨神経系の筋緊張(太ももの裏の部分)を緩める手技をした直後に患者さんが自然と大きい呼吸をする様になりました。

あっこれでいけると思い手足の検査をしたら全く動いてくれなかった各関節も綺麗に可動し、あとはガチガチに固まっていた胸椎や腰椎(背骨の腰の部分)の椎間関節(背骨と背骨の関節)がしっかり動いてくれれば大丈夫だと確信しました。

結局この日の施術時間は20分程度でしたが、一度も痛みのある首や背中は触らず下半身の手技だけで終了しました。

物足りないけど、楽になってる

施術後、患者さんは特に何もされていない感じだと感想を言う人は多いのですが、今回も期待を裏切らず言ってくれました。「なんで全く痛みのない足を触っただけなのに、首や飲み込む痛みまで消えるんですか?」と。

その時は待ってましたとばかりに言う決めゼリフがあります。正座して口を大きく開けた時と横座り(お姉さん座り)をした時と比べて下さいと。比べると正座の方が楽に口を開ける事が出来ます。骨盤が歪んでると全身に影響が出るんですよーと。この説明は100%分かってもらえるので大変便利です。

人は連動して動いている。だから施術も連動しなければいけないという考え

人は立っている時と座っている時は頭の左右の傾きを補正します。正座も横座りも同じ様に頭の傾きを補正します。傾いたままでいると違和感を感じるので当たり前です。正座は骨盤の左右の傾きが少ないので頭を補正する事は簡単です。

一方、横座りは骨盤が片方に酷く傾きます。よって頭の補正の前に体幹を補正する必要があり、それを補正するのが背骨です。骨盤の歪みを背骨が歪ませて補正し頭の位置を安定させようとしてくれています。

しかし、その補正のために体幹の筋肉に緊張が生まれ、開口運動にも影響が出ます。呼吸にも同じ事が言えます。正座と横座りでは呼吸の深さが違います。横座りでは大きく吸えないんです。でも吸わなきゃいけないから無駄に筋力が必要となるんです。

一つの同じ作業をするのに正座と横座りで筋疲労も違うんです。ECOじゃないんです。安静時は骨格や筋肉が左右対称でないと、開口や呼吸など人が安静時に運動する機能は低下してしまいます。

もちろん動作時にも悪影響は出ます。

人は連動して生きているので、連動性を失うアンバランスな体は色んな機能低下を生みます。

この患者さんは首や背中が痛いと訴えていましたが、僕には腰をかばっているような立ち姿だったので、骨盤や腰椎に問題があるのではと思い下半身の手技を選択した次第です。

施術し改善した後には比較できませんが、今回の場合痛い首や背中から施術した場合はもう少し時間がかかったかもしれません。あっ逆にもっと早かったかもしれませんが…

これは正直何とも言えませんが、急性症状の箇所には触れず慢性化している方からアプローチした方が良い結果が出ることが多いと過去の苦い経験からそのように判断したのもあると思います。 体は連動して動くという考えをもって施術しているので、下半身が本来のポジションだったり筋の機能を回復すれば、上半身の機能も回復が期待できるという思い通りの結果が出た症例でした。

最後に…

今回の新患さんは、1回でかなり急性症状が改善したので本当良かったです。特に嚥下(飲み込む作業)による痛みがかなり辛そうだったので、まずその痛みだけでもという思いでしたのでホッとしました。 また2回目の来院されて、何かあれば追記したいと思います。