日々の施術録や身体の使い方について書いています

2015年8月のバランス療法研修会後記

土曜日はプロフェッショナルが座位の足関節の調整、アドバンスが仰臥位の下肢屈伸

座位の足関節の調整はそんなに頻繁に使う技じゃないけど、研修生と一緒に練習したらまた新たに気づかせてくれました。

この手技を習った時は、足首をストンと落とすだけだからそんなに難しくないと思っていたけど、いざ教えるとなると色んなことを考えなければいけないことが分かりました。

これは単純だからこそ気づくことが出来た思いますね。

ただストンっと足関節を落とすものだと思っていたこの手技ですが、足関節関節面と膝関節関節面と股関節関節面の3関節が揃っていないと思い通りに関節のコントロールが出来ないことが分かりました。

自分ですると何気なくこなしていても、人に教えると思うように再現出来ないことに疑問を感じてしまい戸惑います。でもちゃんとマスターして欲しいという思いが分析を深堀し、出来ない理由は自分の理解の浅さと気づかせてくれました。なのでとてもいい勉強になりました。

仰臥位の下肢の屈伸は、バランス療法をする上でとても重要な手技です。重要なのに、正直僕があまり好きではない手技です。たぶん自分自身がこの手技を受けて効いたと感じたことが少なかったこともあると思います。実際臨床で使えば凄いなあと思うことは何度もあるのにです。

施術者の心情として、自分が受けて好きな手技に偏る傾向があるのかもしれません。

あとこの手技は、足首と膝蓋骨を固定して動かさなければいけなくて大変です。動かす難しさも、使用頻度の少ない理由の1つかもしれません。

でも一緒に勉強してて、あっ大事な技だなぁとつくづく感じました。下肢の3関節のコントロールでしっかり技をかけれると、明らかに重力に対する体(両下肢)の支えが違うことを実感できます。

好きな手技ばかりに頼っていましたが、ちょっと普段の技のセレクトを見直し、もう少し解剖学的にも大腿神経系と坐骨神経系を考えて組み立てないといけませんね。

アドバンスのみんなは初めて習うので、とりあえず手順を覚えてもらいました。 いつも口を酸っぱくして言っている『まず最初にすることはポジション取り』。これが出来ているか出来ていないかで手技の効果が全く違ってきます。

指導しながら昔自分がセミナーに参加している頃を思い出しました。

足首の固定だけで何時間も繰り返し練習したなぁっと。師匠の固定の感覚を思い出し、真似して、飽きずにひたすら練習していたことを思い出し、そういえば最近は自分の探求方向が違う方向に向いてて、落ち着いたらまた手技の探求をしなきゃと思いながら研修をしていました。

日曜日はベーシックの伏臥位の下肢の牽引

日曜日は全員同じ手技の練習です。バランス療法で欠かすことの出来ない重要な手技ですし、一部適応外の患者を除き全ての患者に使用する手技です。

この手技は研修生の実験台で受けてても本当に気持ちの良い手技です。施術後に立つと「あ〜体が起きたぁ。気持ちよく立ててる」と感じさせてくれます。

仰臥位の下肢の牽引は腰椎椎間板ヘルニアや変形性膝関節症の患者に少し慎重に手技をかけなければいけませんが、伏臥位の下肢の牽引は困った時に本当に役立つ手技です。開業18年間でも何度も患者さんとそして僕もこの手技には救われました。

思い出のある手技の1つです。 今回のテーマとして、「安定して力が伝わりやすいポジション探し」「通常よりも軽い牽引力で検査の変化を見る」にしました。

「安定して力が伝わりやすいポジション探し」についてはいずれ身体の使い方(身体の取り扱い説明書)の時に書きます。

「通常よりも軽い牽引力で検査の変化を見る」は、通常は比較的ダイナミックに患者の体を動かす手技ですが、重度の患者で筋緊張が強かったり関節可動域が少ない場合は、通常と同じように手技をかけるより最初は刺激の少ないアプローチから手技をかけた方が経験上でも良いと思っています。

通常より少ない牽引力で手技をかける場合も通常の場合も、全く同じフォームで手技を行わないといけないのですが牽引力を少なくしようとすることで、腕だけで牽引したり、患者の下肢の3関節のコントロールができなかったりと意外と難しいです。

どんな状況でも常に同じフォームで手技が行えると、施術効果も高く施術家としても良い結果が出しやすいと思います。

スポーツでも…

これはスポーツでも言えます。野球で遠投をする時も近い距離でキャッチボールする時も基本は同じフォームです。

テニスもショートラリーと通常のストロークラリーは同じフォームじゃないといけないんです。

全てのスポーツを分析したわけではありませんが、スポーツ動作において動きの原理原則を無視して動くスポーツは絶対ないと信じています。

このバランス療法もそして他のお考えで臨床されている先生方の他の手技療法も、それぞれ施術の理論は違えど自分の手足を使わないと施術は出来ないわけですから(一部患者が動く手技はありますが)、その手技1つ1つの動作も原理原則に当てはまらなければなりません。

僕のセミナーでは、常に動きの原理原則に従って手技を学んでもらっています。これは何年経っても変わらず続けていきます。

まとめ

今回も良いセミナーだったと思います。研修生が今回の内容を身につけ患者さんに喜んでもらえると僕も嬉しいです。研修生はしっかり復習して現場で活かしてくださいね。

9月は土曜日はプロフェッショナルが僧帽筋上部、アドバンスが座位のエルボー、日曜日のベーシックは外側胸筋神経です。どれも素晴らしい手技だと思います。 僕も楽しみにしていますし、研修生も楽しみにしていて下さい。