患者さんに喜ばれる治療家を目指す柔道整復科・鍼灸科の学生さんへ
柔道整復科、鍼灸科の学生のあなたはこれからの治療家人生にどんな夢を思い描いていますか?
資格を取得し、さらに色々な経験を積んで開業を目指している方が大勢いると思います。
夢や希望の反面、不安も沢山あると思います。
僕も学生時代は期待と不安の中毎日の生活を送っていました。
鍼灸師と柔道整復師の資格を取って、整骨院や病院で経験を積んでから地元の福岡で整骨院を開業するつもりでした。
しかし現場の経験や治療師や手技との出会いにより、整骨院開業という夢から自費での治療院開業に切り替え、来年で開業20年になります。
その当時経験したことや今思うことをまとめて、今後の皆さんの治療家人生の参考になればと思います。
そしてもし施術に対する考えが同じなら、僕や僕の仲間と一緒にバランス療法の手技を学び、苦しんでいる人を助けられる治療師を目指して欲しいと思います。
学生時代は貴重です。
(柔整科、鍼灸科などの)学生時代って本当に貴重な時間だったと、臨床を続けてきて本当に強く思います。
多くの人は国試で合格するために毎日勉強を頑張っていると思います。資格取得はとても大切なことです。そんなこと百も承知です。
学生時代が貴重というより、もっと授業を真面目に聞いておけば良かったと思います。
解剖学や生理学や運動学などもっと勉強をしてたら、どれほど臨床に役立っていたかと今になって感じるからです。
私も国試で良い点を取るためにそれなりに勉強しました。しかしそれは国試用の勉強であり、患者さんのためではありません。
国試の勉強はとても大切ですが、どうせ授業を受けるなら今後接する患者さんのために解剖生理学等の勉強をすれば良かったと思います。
僕は学校のテスト、国試対策、そして国試本番のために勉強をし国試に合格したら、すっこーんと消えてしまいました。皆さんが僕と同じとは限らないですが、意外と忘れている人の方が多くいます。
しかし、臨床の場では患者さんの苦しみの原因もそれを改善してあげる方法論も全て解剖生理学上にしか答えがないんです。これはとても重要なことです。
臨床には必ず解剖生理学が必要です。専門学校の授業も、もっと臨床に則した授業であってほしいのですが、現実はそうではありません。
国試合格のために必死な学校の先生の気持ちはよく分かります。しかし学校の先生は臨床現場の患者さんの苦しみやそれを改善しなきゃいけない我々治療師の心情などを考えて教えてくれません。
資格がなきゃ何も始まらないから、まずは資格が先でしょ!っと言われたら何も言えませんが…
しかし明日も患者さんは苦しみを抱えて来院されるのです。そのためには僕ら治療師は解剖生理学を無視する訳にはいかないんです。
ここからは僕からの提案です。
もし可能なら、学生の頃から病院や整骨院鍼灸院等で患者さんと触れ合える環境を作ってください。バイトしているという感覚ではなく、勉強していると思い患者さんをよく見てください。
患者さん一人一人の症状やその時の歩き方などの動作、顔色や声などしっかり観察してみてください。症状によっていろんな事が見えてきます。絶対に現場でしか感じることが出来ない事があります。
そして現場で見たり聞いたり感じた事と学校の授業の内容をリンクさせてみてください。これが一番解剖生理学などが頭に入り、資格取得後にも必ず役に立ちます。
学生時代は資格取得のための勉強の時間ではありますが、資格を取ったから患者さんが治るわけじゃありません。
治療師の修行は始まってますよ。意識を高く持った学生生活を送って欲しいです。
いろんな勉強ができる有意義な学生時代。どんな出会いもどんな経験も肥やしです。
資格取得後もいろんな人と出会う場は沢山あると思います。しかし、学生時代にいろんな施術方法や理論を聞くことをオススメします。
僕は鍼灸科の1年生の時、整骨院のバイト先で操体法という手技のテクニックに魅了されました。
院長の操体法を受けた患者さんが楽になり笑顔で帰っていく姿に、自分も院長のように手技で患者さんを喜ばせたい。手技をかける院長がキラキラして見えました。
鍼灸科2年生の時整骨院を辞め、操体法の勉強会と鍼の経絡治療の勉強会に参加します。
学んだ操体法はすぐに知り合いに試し、鍼は自身が高校時代の事故の後遺症のために試す日々を送っていました。それほど疑いもなく、操体法も鍼も自分には向いていると思っていました。
そんなある日操体法の先輩から、自分も学びたいが難しく手が出ない手技があると聞き、その手技を体験する機会を頂きます。
この時受けた手技が現在僕が行う手技、バランス療法です。
初めてバランス療法を受け今でもはっきり覚えていることは、自分の身体がこんなに歪んでて、そしてこんなに楽になるのか!でした。
当時の僕は事故の後遺症で本当に辛い毎日を送っていたので、手技を受けた後の感動と衝撃は忘れることはありません。
操体法は、施術し楽になってもらえてましたが、よくよく考えたら自分自身がまだ一度も楽になった経験がなかったんです。鍼も自分で鍼の治療院色々行っても後遺症が改善することはありませんでした。
というより医者に見捨てられた時に、この後遺症は改善しないと思っていたし、一生背負って生活するもんだと思っていました。
鍼灸科の3年生からは、どっぷりハマっていた操体法、そして開業していく上で重要だと思っていた鍼の勉強会を辞め、僕の師匠の月1回のセミナーに参加し手技を身につけました。
僕の学生時代は、1年ごとに色んな手技や施術理論の出会いの繰り返しでした。
皆さんも、学生時代に色んな出会いの機会を沢山作って下さい。
学生時代にしか出来ない出会いもあるはずです。国試の勉強の気分転換でもいいのでいろんな研修会に参加し、出会いや経験を積んで欲しいと思います。
なぜ突然変われたのか?理に適った手技だと思ったからです。
鍼灸科3年生からバランス療法のセミナーに参加して間も無く、鍼灸師の資格取得後はバランス療法のみで臨床の場に臨もうと決めました。
操体法と鍼で整骨院を開業する夢をあっさり諦め、代わりにバランス療法のみの自費治療だけで患者さんに喜んでもらうと決めました。
バランス療法の研修会の参加者が皆さん自費で開業されてたので、特に不安もなく夢を切り替えることが出来ました。
逆に、これから自費で開業するためには何をするべきかを、残りの1年間の学生時代からしっかり考えられた事がとても良かったと思います。
操体法の手技だけならまだしも、鍼灸科に通っている時点で鍼灸まで捨てることは勇気がいりました。しかしそれ以上に後悔しない自信と大丈夫という自信がありました。
理由は2つ。1つは、自分の身体の変化。もう1つは、患者さんにしっかり説明できる内容だったことです。
それまで学んだ操体法や鍼や灸、整骨院で身につけたマッサージなどの内容は、解剖学的にこうなってて、これがこうなると…という説明が出来ませんでした。
なんとなくふわっとした説明やありきたりな説明に、何か無理やり自分で納得している感じでした。
ここでは詳細は省きますが、バランス療法は患者さんの身体の現状を解剖学的に説明できることと、何が問題で痛みや不調が起きているかがしっかり説明出来ます。
この部分がとても僕の中で腑に落ちました。
そしてバランス療法が、鍼や操体法と融合が出来ない事も解剖学的に考えても明白でした。
僕の出した答えは、「バランス療法だけで勉強すればあとはいらない。そのかわり解剖生理学は必須」でした。
上記にもあるように、3年生になってからの国試対策の解剖生理学の授業は、バランス療法の理論と解剖生理学の内容とをリンクさせながら聞いてました。
その後は、日々勉強。僕の先生は患者さんです。
鍼灸師の国試に合格後は柔整科には進まず、午前は病院で勤め午後はバランス療法のみで施術を行い、バランス療法を学び始めて4年目には完全に独立し治療院を経営することができました。
そして来年で20年になります。20年なんて、あっという間です。
欲張ればキリがありませんが、20代の時もっと勉強すれば良かったと思います。
今は、20年後に「40代の時もっと…」と思わないように頑張っています。
20年経った今でも毎日勉強です。どの仕事も同じだと思いますが、勉強しないと向上しないと思います。
そして20年間僕に色々なことを教えてくれたのは患者さんです。様々な患者さんが一人の治療家を育ててくれるのです。
痛いという患者さんの声を改善する方法は、残念ですが学校の授業では教えてくれませんし、解剖生理学の教科書のどこにも書いていません。
国試で満点が取れる勉強をし知識を詰め込んでも、患者さんに施術する資格が得れるだけで患者さんを笑顔にすることが出来ないんです。
学生さんに一言。
在学中にいろんな手技や鍼灸の理論や実技に触れてください。
その施術方法が患者さんだけではなく医療従事者にも説明出来るか否かを冷静に判断し、疑いの余地がない施術方法を見つけてください。
説明できる理論であれば、習得すれば臨床に必ず役立つと思います。
無事に国試に合格し、立派な治療師として救いを待っている人の役に立ってください。